家の中で遊び、雨に濡れずに帰る。
中庭と屋根付きアプローチが暮らしを広げる平屋
休日になると外へ出かけるしかなかった暮らしから、家の中にも、外にも、家族で過ごせる選択肢をつくること。今回の住まいで大切にしたのは、そんな日常の広がりでした。
舞台は浜松市中央区初生町。お施主様が望まれたのは、中庭のある平屋と、外からの視線を気にせずに過ごせること。そして、雨の日でも車から玄関まで濡れずに移動できることでした。
建築家はその要望を、単に「中庭をつくる」「屋根をかける」という答えに留めていません。外に閉じ、内に開く平屋の構成と、長い屋根付きアプローチを組み合わせることで、移動・遊び・くつろぎがひとつながりになる住まいを導き出しました。
建築家が導き出した、中庭と屋根付きアプローチで暮らしを広げる最適解

この家の中心にあるのは、外部からの視線を受けにくい中庭です。道路や周辺環境に向かって大きく開くのではなく、建物の内側に家族のための外部空間を抱き込むことで、カーテンを閉め切らずに光と緑を楽しめる計画になっています。
平屋でありながら、暮らしが平面的に単調にならないのも特徴です。LDKと中庭、アプローチと玄関、室内の居場所が少しずつ視線でつながり、家の中にいても外の気配を感じられます。
【こだわり1】家の中に、もうひとつの外遊びをつくる中庭

お施主様が求めていたのは、ただ眺めるための庭ではありません。子どもが遊び、家族が外の空気を感じ、休日を家の中でも完結できる場所です。
そこで建築家は、周囲からの視線を抑えながら、LDKと連続する中庭を計画しました。道路側に開きすぎないため、外から見られる落ち着かなさを減らしつつ、室内には大きな開口から自然光を届けています。
外へ出かけるしかなかった時間が、家の中で過ごす時間に変わる。中庭は、この住まいの「余白」であり、家族の過ごし方を増やすための設計です。
【こだわり2】濡れずに帰り、遊び場にもなる屋根付きアプローチ

ご主人が大切にされていたのは、車そのものを守ることよりも、雨の日に自分や子ども、荷物が濡れずに玄関へ入れることでした。
建築家はこの要望に対し、車から玄関までを単なる最短距離の動線にせず、建物の印象をつくる長い屋根下のアプローチとして設計。帰宅時のストレスを減らしながら、外観に奥行きと陰影を与えています。
十分な長さを持つ屋根下空間は、雨の日の移動だけでなく、子どもの遊びや自転車まわりの作業にも使える余白になります。機能を満たすだけで終わらせず、暮らしの可能性まで広げている点が、この住まいらしい見どころです。
【こだわり3】中庭へ視線が抜ける、シンプルで飽きのこないLDK

お施主様が好まれていたのは、装飾を足しすぎたデザインではなく、余分なものをそぎ落としたシンプルな美しさでした。見た瞬間の派手さではなく、長く暮らしても飽きにくいバランスです。
LDKは白と木の明るさを基調に、キッチンや家具の色味を抑えて整えています。視線の先には中庭があり、室内のシンプルさと外の緑が互いを引き立てる構成です。
「細かく指定しすぎる」のではなく、暮らし方や好きな方向性を共有し、プロに委ねる。だからこそ、必要な要素だけが残った、軽やかな空間に仕上がっています。
【こだわり4】家族の気配を受け止める、奥行きのある居場所

LDKは、キッチン・ダイニング・くつろぎのスペースが一直線に並ぶだけではなく、中庭を介して外へ視線が広がるつくりです。家族が同じ空間にいても、それぞれが少し違う場所で過ごせる余白があります。
ダイニングからは庭の緑が見え、キッチンに立っていても室内外の気配を感じられます。子どもが中庭で遊ぶ様子を見守りながら、家事や食事の準備ができる距離感です。
家にいる時間を、単に室内で過ごす時間にしないこと。視線・光・外部空間を組み合わせることで、平屋の中に多層的な居場所をつくっています。
【こだわり5】小さな居場所が、暮らしの気分を整える

家族で過ごす大きな空間だけでなく、ひとりで本を開いたり、静かに気分を切り替えたりできる小さな居場所も設計されています。
窓辺のカウンターや飾り棚は、面積としては大きくありません。しかし、光の入り方や壁の余白を丁寧に整えることで、暮らしの中に落ち着きのある時間を生み出します。
大きな中庭と長いアプローチ、そして小さな居場所。スケールの異なる空間を組み合わせることで、家全体に単調さのないリズムが生まれています。
施工写真





終わりに
この住まいは、中庭のある平屋という要望に、雨に濡れない屋根付きアプローチを組み合わせることで、暮らしそのものを広げた一邸です。
外からの視線を抑えながら内側に明るく開き、家族が家の中でも外のように過ごせる場所をつくる。さらに、帰宅・遊び・収納・くつろぎまでをひとつながりに整えることで、日常の使いやすさと美しさを両立しています。
細かな仕様を足し重ねるのではなく、暮らしの輪郭をプロが読み解いて形にした、S.CONNECTらしい建築家住宅です。


