
あえて20帖LDKをつくらない、
ちょうどいい家
一体の大空間、吹き抜け、開放的なLDK。家づくりでは、それが正解のように語られることがあります。
けれど、この住まいが選んだのは、20帖を超える大きなLDKをつくることではありません。家事や食事のためのDKと、くつろぐためのリビングをあえて分けることで、暮らしの中に落ち着ける居場所をつくることでした。
さらに敷地は、南側を含めて三方を建物に囲まれた条件。一般的には「暗くなりそう」と感じやすい土地ですが、大きな中庭や大きな吹き抜けに頼らず、光の取り入れ方と視線の抜けを丁寧に計画することで、明るく心地よい住まいに仕上げています。
家づくりのきっかけと、S.CONNECTとの出会い

家づくりのきっかけは、将来の暮らしを見据えて、先に住まいの環境を整えておきたいという思いでした。賃貸では、音や汚れ、周囲への気遣いなど、子育てを考えたときに気になることが増えていきます。
一方で、ご夫妻が大切にしていたのは、子ども中心の一時的な使いやすさだけで家を決めないこと。長く住み続ける自分たちの暮らしを軸に、好きだと思えるデザインと、無理なく心地よく過ごせるサイズ感を求めていました。
情報収集の入り口は、資料請求やYouTube、完成見学会。いくつかの会社を比較する中で、S.CONNECTの施工事例にあるデザイン性と、性能を当たり前に担保する姿勢に惹かれていきました。
現状の不安と叶えたかった理想の暮らし
最初から具体的に「この間取りにしたい」という要望が固まっていたわけではありません。ご夫妻の中にあったのは、シンプルで飽きが来ず、植栽や家具、照明がきれいに映える家にしたいという感覚でした。
料理やお菓子づくりを楽しめる大きなキッチン。ものを詰め込まず、ゆとりを持って使える収納。将来の変化に合わせて用途を決めすぎずに使える余白。言葉にするとふわっとした希望でも、その背景には「自分たちらしく長く暮らせる家にしたい」という明確な軸がありました。
数ある中でS.CONNECTに託した決め手
決め手になったのは、デザインだけではありません。断熱や気密、換気といった性能面についても丁寧な説明があり、安心して任せられると感じられたこと。そして、要望をそのまま聞くだけでなく、言葉になりきらない好みをプロの視点で整理してくれたことでした。
「好きな雰囲気はあるけれど、どう注文すればいいかわからない」。そんな状態からでも、会話を重ねるうちに輪郭が見えてくる。S.CONNECTと建築家の家づくりは、完成形を押し付けるのではなく、ご夫妻の中にある感覚を丁寧にすくい上げて形にしていくプロセスでした。
建築家が導き出した、光と居場所を分ける最適解

建築家 高井氏が向き合ったのは、決して条件のよい敷地ばかりではありませんでした。南側を含めて周囲を建物に囲まれ、日当たりへの不安がある土地。そこに対して、単純に大きな吹き抜けや中庭で解決するのではなく、建物の配置、窓の取り方、室内の抜けを組み合わせて明るさをつくっています。
もうひとつの大きな特徴は、LDKをひとつの大空間にしなかったことです。ダイニングキッチンは家事や食事を楽しむ場所として、リビングは一日の終わりに気持ちを休める場所として、それぞれの役割を持たせました。
分けることで狭くなるのではなく、分けることで居心地が生まれる。そこに、この住まいの面白さがあります。
建築情報
- 建築地:浜松市中央区富塚町
- 建築家:高井氏
- 敷地面積:56.44坪
- 延床面積:30.43坪
- UA値:0.45
- C値:0.49
【こだわり1】暗くなりがちな敷地に、無理なく光を届ける設計

周囲を建物に囲まれた敷地では、明るさを得るために大きな開口や吹き抜けを設けたくなります。しかし、それはコストや冷暖房計画にも影響します。
この家では、光をたくさん入れるのではなく、必要な場所へ届くように計画しています。リビングには低い位置の窓と壁面への反射を生かし、柔らかく落ち着いた明るさを確保。光が直接差し込む強さよりも、部屋全体にじんわり広がる明るさを大切にしています。
特殊な仕掛けではなく、誰もが検討できる範囲の設計で、土地条件の不安を心地よさへ変えている点が見どころです。
【こだわり2】家事とくつろぎを分ける、非一体型LDK

大きなLDKは開放感がある一方で、家事の気配も、食事の気配も、くつろぎの時間も同じ空間に混ざります。そこでこの家では、DKとリビングをあえて分けました。
DKは料理や食事、お菓子づくりを楽しむ場所。大きなキッチンと収納量を確保し、道具が増えてもすっきり使えるように整えています。一方のリビングは、家事が一区切りついたあと、気持ちをゆっくり休めるための場所です。
「広いLDK」ではなく「ちょうどいい居場所」を選ぶ。そんな価値観を、実際の空間として体感できる計画です。
【こだわり3】分けながら、つながりを残す視線の抜け

DKとリビングを分けると、空間が閉じてしまうように感じるかもしれません。けれど、この家では壁や窓、抜けの位置を丁寧に調整することで、分かれていながら互いの気配が感じられる関係をつくっています。
ダイニングから見える余白、リビングへ向かう視線、玄関から奥へ続く光。すべてを一望させるのではなく、少し先が見えることで、家の中に奥行きが生まれます。
一体型のLDKでは得にくい、落ち着きと期待感のある距離感です。
【こだわり4】玄関から洗面、階段へ。生活感を整える入り方

玄関を開けてすぐにLDKが見えるのではなく、洗面や階段を介して室内へ入っていく構成も特徴です。帰宅して手を洗う、身支度を整える、2階へ上がる。日常の動きを自然に受け止めながら、いきなり生活の中心を見せない落ち着きがあります。
階段まわりの吹き抜けは、リビングと直接つなげすぎず、光や気配だけを届ける役割も担っています。音や空調の逃げを抑えながら、抜け感をつくる。ここにも、暮らしやすさと見た目の気持ちよさを両立する設計の工夫があります。
【こだわり5】シンプルな家の中で、洗面を印象的な場所に

全体は白を基調に、素材や色数を抑えたシンプルな空間です。その分、毎日目に入る洗面には、丸い鏡やタイル、照明の質感を効かせています。
収納量を確保しながら、ただ実用的なだけで終わらせない。身支度のたびに少し気分が上がる場所として、暮らしの中に小さな楽しさを添えています。
【こだわり6】建物を背景に、植栽が映える外観

外観は、建物そのものを過度に主張させるのではなく、植栽や照明が美しく見える背景として整えています。白い壁面に縦の開口と木の要素を組み合わせ、昼は端正に、夜は光と影が印象的に見える表情をつくりました。
ポーチから玄関、室内、その先の庭へと視線がつながるため、帰ってきたときにも奥行きを感じられます。暮らし始めてから、日々の帰宅が少し楽しみになる外観です。


終わりに
この住まいは、条件のよい土地や大きな空間に頼らなくても、明るく心地よい家はつくれることを示した一邸です。
20帖を超える一体型LDKをあえて選ばず、DKとリビングを分けることで、それぞれの時間に合った居場所をつくりました。
広さや派手さではなく、自分たちらしく落ち着けること。その価値を、建築家の設計で丁寧に形にした住まいです。

