エスコネクト

CASE

外に閉じ、内に開く家

外に閉じ、内に開く家

静岡県浜松市 H様邸

外に閉じ、内に開く家

シンプル モダン 中庭

動画あり

奥行きのあるアプローチと外観

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浜松市の中でも交通量の多い幹線道路に面した敷地。さらに南側には3階建ての共同住宅が迫り、外へ無防備に開けば、視線も影も暮らしに入り込んでしまう条件でした。

この住まいで建築家・田島先生が導いた答えは、外に閉じ、中に開く中庭型コートハウス。道路からの視線を受け止めながら、北側へ配置したライトコートによってLDKへ光を導き、約30帖の大空間に奥行きと落ち着きを生み出しました。

お施主様ご夫妻が望まれたのは、日々の動線の悪さを解消すること、物理的な広さを感じられる開放感、そしてご夫妻でお酒を楽しむ夜の時間が似合う住まい。広さだけでなく、光、視線、動線、収納、夜の雰囲気までを一つの設計に編み込んだ邸宅です。

建築家が導き出した、北側ライトコートという最適解

室内に光を届けるライトコート

南側に高い建物がある敷地では、単純に南へ大きく開くだけでは、十分な明るさや心地よい眺めを得にくいことがあります。田島先生はその条件を読み取り、あえてコートの位置を北側へシフト。南側の影を越えて届く光をコート内部で反射させ、LDKの奥へやわらかく拡散させる計画としました。

外周は閉じているため、幹線道路沿いであることを室内では感じにくく、周囲からの視線も遮られます。一方で室内は、中庭と高天井によって視線が伸び、数字以上の広がりを感じられる構成です。

【こだわり1】街の顔になる、凛々しく温かなファサード

幹線道路側から見た外観

敷地は都市計画道路に面し、道路側の見え方がそのまま街並みの印象にもつながる場所でした。田島先生は、2階ボリュームを道路から意図的に奥へ引き、北側ファサードに重なりと奥行きをつくっています。

屋根の掛け方やパラペットの見せ方も整え、スカイラインに余計な勾配が現れないように計画。閉じた外観でありながら、アプローチへ自然に導かれるような表情を持たせ、凛々しさと温かさを両立させました。

【こだわり2】約30帖LDKをさらに広く感じさせる、中庭と高天井

ライトコートに面した約30帖のLDK

ご夫妻は、数字上の面積だけではなく、体感としての伸びやかさを大切にされていました。そこでLDKは、調理、食事、くつろぎの場をひとつながりにしながら、ライトコートと高天井の抜けを重ねることで、ホールのような広がりを感じられる空間に整えています。

中庭に面したサッシは、室内との連続感を強調できるものを選定。外へ開放するのではなく、守られた中庭へ開くことで、周囲の視線を気にせず、光と余白だけを暮らしに取り込めるLDKになりました。

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【こだわり3】動線の悪さを解消する、回遊性と収納計画

暮らしを支える収納計画

ヒアリングで出てきた大きな課題の一つが、日々の「動線の悪さ」でした。田島先生は、お出かけや帰宅の行程を丁寧に聞き取り、生活に自然に溶け込む回遊性と、その動線に絡めた収納を随所に計画しています。

間取りでは、玄関まわりにホールクロークを設け、洗面、ランドリー、ファミリークローゼットを近接させています。LDKの美しさを保ちながら、日々の支度や片付けが短い距離で完結する構成です。

【こだわり4】見せたくない階段を、光を導く装置に変える

LDK奥に計画された階段と吹抜け

お施主様からは、リビングイン階段は避けたいというご希望がありました。深く伺うと、単にリビングに階段を置きたくないのではなく、「階段が見えすぎること」を避けたいという意図がありました。

そこで階段はダイニング側に構成しながら、主役として見せるのではなく、空間の奥に控えるように配置。そのうえで階段まわりの吹抜けを活かし、上部からの光を室内へ導く道筋として機能させています。要望をそのまま処理するのではなく、空間の質を上げる設計へ変換したポイントです。

【こだわり5】毎晩のお酒を楽しむ、大人の夜のステージ

夜のダイニングとキッチン

ご夫妻はともにお酒を嗜まれ、毎晩の時間を楽しめる空間を望まれていました。LDKは日中の明るさだけでなく、夜に照明が落ち、ダイニングやキッチンが落ち着いた表情になることまで見据えています。

重厚感のあるキッチン、余白を持たせたリビング、ライトコート越しに変化する景色。音楽に携わるご夫妻が、生活に優雅なリズムを刻めるような、大人のための空間です。

施工写真

間取り

この間取りで注目したいのは、部屋の大きさではなく、敷地条件に対する開き方です。外周を閉じながら、ライトコートと吹抜けを家の芯に置くことで、視線を外へ逃がさず、光だけを室内へ引き込む構成になっています。

水回りや収納は、玄関からLDKへ至る主動線の裏側に整理されています。見せたい空間と支える空間を明確に分けることで、LDKには余白と品格を残しながら、日々の動作は短く済むように計画されています。

2階は必要な個室をコンパクトにまとめ、階段と吹抜けを介して1階の光と気配につながる配置です。面積を広げるのではなく、上下階の関係性と視線の抜けで豊かさをつくる、建築家らしいプランニングです。

浜松市中央区本郷町の住まいの間取り図

終わりに

外からの視線と南側の影という敷地条件を、閉じる設計と北側ライトコートで解いた住まい。

約30帖のLDK、回遊動線、収納計画、夜のダイニングまで、暮らしに必要な余白を丁寧に重ねました。

静かな佇まいの中に、光と時間の変化を楽しむ、建築家住宅ならではの一邸です。

DATA

構  造
木造2階建て
敷地面積
78.06坪
延床面積
33.93坪
UA値
0.40
C値
0.49

STAFF

DIRECTOR
YAMAMOTO KANOKO
COORDINATOR
YAMAMOTO KANOKO MISHIMA FUMIKO

この住宅を設計した建築家

田島 芳竹

建築家

田島 芳竹

私たちは空間を導く際、建築がもっている「型」に当て はめることだけの設計を避けたいと考えています。 住宅であれば、住まい手の背格好や性格、趣味や生活ス タイルが皆異なるように、住宅空間には違う「答え」が 出てきて当然であり、むしろどのような「答え」が導き 出せるかということを住まい手の気持ちに立ち、真剣に 考え、ご提案する設計を目指しています。 そこで生まれる「答え(その人のための空間)」は、皆 が認識している「型」とはすこし違っているかもしれま せん。 しかしそこには、住まい手の生活を素直に表現した構成 や空間が存在するのではないかと期待し、設計とご提案 をしています。 新たに生まれた住宅は、その空間の主が住み始めたとき にスイッチが入り、はじめて命が宿るものと考えていま す。ですから私たちは完成された家をつくるのではなく、 住まい手が背伸びすることなく、生活を楽しむことがで きるきっかけのステージを提案したいと思っています。

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