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浜松市中央区初生町 / 延床面積 32.93坪 / 敷地面積 54.96坪 / UA値 0.42 / C値 0.35 / 耐震等級3
静岡県浜松市中央区の初生町。建物が密集する住宅街にある、約55坪の北西角地。一般的な設計であれば採光や通風のために窓を設けるところです。しかし、建築家は逆の発想を選びました。
北側と西側の壁に窓を一枚も設けない。外への視線を完全に閉ざし、代わりに「中庭」という内なる自然を設計の起点に据える。通常の「家から外へ」ではなく、外のデッキ側から家の中に空間が差し込んで広がっていくという逆転の発想。すべての空間を、この中庭の景色に没入するために逆算して組み立てていく。そんな設計プロセスから生まれた住まいです。

正面からは一切窓が見えない外観。外壁にはジョリパットの「小粒ロック」吹き付け仕様を採用。
建物の西と北にはあえて窓を一枚も設けず、高い壁で周囲を覆うことで隣家からの視線を完全にカットしています。カーテンを閉める必要のない、圧倒的なプライベート空間。住宅密集地にいることを忘れ、空と緑だけを感じる暮らしを実現しました。
庭にはモミジなどの落葉樹と常緑樹を計算して混植しています。新緑の鮮やかさ、紅葉の色づき、冬の枝越しの光。家の中にいながら、いつでも緑と季節の移ろいを感じられる空間に仕立てました。

外のタイルデッキから玄関ポーチ、玄関ホール、そして室内の床まで、すべて同じ300mm×600mmのタイルを使用。目地を通すことで、どこまでが家でどこからが庭なのかわからない、内と外の曖昧な繋がりを生み出しています。
タイルは下から上に向かって貼り、上部の軒天に突き刺さるような割り付けで奥行き感を演出。小口にもタイルを巻き込み、ポーチの斜め部分でも目地を揃えるなど、徹底したディテール処理が施されています。


中庭の景色を絵画のように楽しむためには、室内の「生活感」や「視線の邪魔になるもの」を極限まで排除する必要があります。この家には、没入体験を守るための緻密な仕掛けが幾重にも重ねられています。
【昼の設計】
北・西・東に窓を設けず、室内の照度をあえて落としています。北側からの安定した光もあえて入れないことで、南側の中庭に落ちる自然光がより際立って綺麗に見えるようにしています。主な採光は、外と中をつなげるために南側にレイアウトした階段の吹き抜けから。吹き抜け上部の窓を通して、空から降ってくる光で室内を明るくしています。
【夜の設計】
夜間は室内の照明がガラスに反射して外が見えなくなる「鏡現象」が起こります。それを防ぐため、室内を薄暗くし、庭の植栽をライトアップ。お寺の庭園を眺めるような照明計画で、夜でも外の景色に没入できます。
【視線の誘導】
玄関自体には照明をつけず、洗面上の小さな横長窓からの光だけで十分な明るさを確保。玄関ドア周りをあえて明るくしすぎないことで、ドアを開けた瞬間、パッと明るい中庭の方へ自然と視線が導かれる、来訪者が最初に体験する「没入」の演出です。

空間のノイズになるエアコンは、格子(ルーバー)の中にすっぽりと隠蔽。無機質な家電の存在感を完全に消し去り、庭へ視線が集まるようにしています。


ごちゃつきがちなカップボード(食器棚)や電子レンジなどの調理家電は、すべて背面の扉の中に隠せる仕様。扉を閉めると壁と同化し、生活感を一切感じさせません。
空間の主役となるキッチンにはGRAFTEKT(グラフテクト)の「ラーバグレー」を採用。キッチンだけが悪目立ちしないよう、床や空間全体の色・質感とのバランスを考慮した配色です。


アルミを巻いた柱:構造上どうしても抜けない柱には、あえて無機質な「アルミ」を巻き、木の質感が視線を奪うのを防いで階段と同化させています。

線のノイズを消す:階段の「ささら(支える板)」をなくし、踏み板の端を斜めにカット(面取り)して見付けを1cmほどの薄さに見せることで、空間の抜け感を演出。タイルと無垢床の境界には、わずか3mmの黒いフラットバーを使用し、段差や線のノイズを極限までなくしています。

写真だけでは伝えきれない光の移ろい、空間の繋がり、素材の質感。約40分のルームツアーで、建築家が一つひとつの設計判断に込めた意図を解説しています。
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